夕木春央「楽園」

ピーナッツ🌜

夕木春央「楽園」を読みました。

楽園
楽園

講談社

Digital Ebook Purchas

面白かったです!


この作品、「方舟」→「十戒」→「楽園」の順番で読んで欲しい!

もし前作を読んでいなくても支障はないのですが、読んでいたほうが、今作がさらに怖く感じると思うからです。(大ヒット作品なので、おそらく楽園を読む人は前2作は読んでいそうだけど・・)


初っ端からネタバレになりますが、「方舟」での犯人は絲山麻衣。「十戒」の犯人は綾川麻衣(旧姓が絲山)。だから今作も絶対に、麻衣が犯人なのはわかってるんだけど、作家さんって底なし沼な才能の持ち主ばかりだから、読者を驚かせようとしている可能性って高いでしょ?

だから私は、今作で沙織が一番麻衣に似ている感じがしたけれど、いやいや裏があるかもしれない、他に麻衣が潜んでいるのかもしれないと慎重な気持ちで読んでいました。でもまあ、中盤に差し掛かる前に、沙織=麻衣であることがはっきり示されるので、そこからは安心(?)して読みました。


沙織が麻衣であることがはっきりしない段階では、康之よ(←主人公ね)・・お前の隣には過去に何人も殺している殺人鬼がいるんだぞ!これからどうしようか、ぐだぐだ悩んでいる場合じゃないって!!と何度思ったことか( ´艸`)

麻衣もさ、殺人鬼なんだけど、殺人を犯す動機は、とにかく彼女にとっては生き残ることが全てにおいて最優先で、それを叶えるためには何でもするんだという強い意志を持ってるんだよね。だから猟奇的な犯行ではないし、お金など欲望のために殺人をするわけじゃないから、なぜか憎めない存在だったのよ。

それが今回、生きて外に出るためには殺人をしなければならないと周囲から圧力をかけられるわけだから、え?これまでは自らが選んでやってたことを他人から強制されるってこと?って、ちょっと設定がパニックになったわ。よくこんな設定を考えつくもんだ。


しかしね・・この作品、楽園の中には、法律で裁かれると無期懲役か極刑になる犯罪者しかいないんですよ。その中の誰かを殺さなければならないっていう特殊な環境に置かれるとさ、普通の人でも倫理観がバグらない??

私読んでいて、すごく奇妙な気持ちになることが多くて、自分でもおいおい大丈夫かと思うことがありました。

このシリーズは大人気で、読者感想を見ていても大絶賛される一方で、好みではないという人も結構いたんです。私は楽しく読んでいたのですが、3作目を読んで、好みではないという感想を書いた人の気持ちがわかりました。作品に対する否定的な意味合いではなく、気持ちが変な方向に揺さぶられるんですよ。

産まれたときから構築してきた倫理観が根底から覆されたような気持ちになって、自分がしている判断が正しいのか間違っているのかわからない。人間の心って脆いものですね・・


ミステリジャンルで犯人が生き残るパターンの作品って珍しいですね。

この作品が好みなら、二階堂黎人さんと黒田研二さんの共作である「Killer X」シリーズを是非おすすめしたい!!クローズトサークルで面白いので‥古い作品であんまり知られてないかもだけど特に1~2作目がおすすめです。

千年岳の殺人鬼
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