ラリー・ニーヴン「不完全な死体」

ピーナッツ

ラリー・ニーヴン「不完全な死体」を読みました。

原作


日本版の翻訳本

面白かったー。


SF×ミステリ。中編が3話収録。


小惑星で作業中に片腕を失ったギル・ハミルトンは、腕を移植した後も、失った腕を動かすことができる超能力を持っている。

それを生かしつつ、ARMという組織で、オーガンレッガーの事案を中心に捜査に携わっているのだが・・という話。


まずオーガンレッガーというのが、耳馴染みがない言葉なんだけど、なぜか違和感がないという不思議。

オーガンレッガーは、作家さんの造語で、Organ(臓器)+Legging(密輸や不正取引)を組み合わせた臓器密売人という意味になります。

このオーガンレッガーが、色んな形で、3つの中編(事件)に関わってきます。


臓器密売と聞くと、そのイメージだけで怖いって思うんだけど、それより怖いのがこの世界の法律!

人工臓器が思うように作れなかったので、病気を治したり長生きするためには、誰かからの臓器移植が必要になります。

臓器の需要が高まっているため、臓器バンクは常に枯渇状態。

それを改善するために、死刑判決を受けた囚人から臓器を没収することにします。

いろんな部位がとれるので、1人の死刑囚は沢山の人を助けることができます。

ここまではいいんですよ。

その後が怖い。

死刑囚なんてそんなに沢山いないので、それなら法律を改定して、これまで軽犯罪扱いだったものも重罰にしようという流れに。つまり、飲酒運転や傷害罪など、これまで殺人事件などと比べると軽犯罪だと思われていたものまで、重罰にして、その判決が下った人は自動的に臓器バンクへ・・・ということに。

私はこの設定、めっちゃ怖いなあと思ったし、ありえないことではないと思いました。

権力者が力を持つことで、簡単に法改正され、特権階級の人たちはそうではない人たちの臓器をも自由にできるということ。怖い~


オーガンレッガーも悪い奴らで、そこらへんを歩いている人を誘拐して、臓器を得ようとする。

もう怖い怖い!

だけど怖いけれど、そこをクローズアップしているわけではないので、本格ミステリとしての楽しさが味わえるのが本書の不思議なところ。


1つ目、以前にギルが地球外で活動をしていたときに、バディとして組んでいた相手が自殺のように死んでいるところを発見される。しかしギルは相手のことをよく知っていたので、自殺するような男ではないと確信。捜査をするうちに、オーガンレッガーが関わっていることに気づき・・という話。


2つ目は、以前オーガンレッガーに狙われたものの生還した2人の兄妹。妹はかなり頭がおかしくなっている状態。

冷蔵庫法が改正される可能性が出てきて、その矢先に、オーガンレッガーの生き残りにギルが命を狙われて‥と言う話。

ネタバレになるけれど、被害にあった兄はすでに兄ではなく、外側を残して全てをオーガンレッガーにとっられていたというもの。怖い・・


3つ目は、奇妙な2つの遺体が見つかる。

一方で、素晴らしい才能を持つ人物が殺されたものの、犯人が見当たらず・・という話。

2つをうまく組み合わせてあって、最後に、そうだったのか!と。


オーガンレッガーは、加害者になったり被害者になったり、この本の中心であることがわかります。

SF×ミステリは難解なところもあるけれど、はまるのわかるわ・・・

古い作品なのに、全然古さを感じさせなくて面白かったです。