デビット・スーシェ自伝「ポワロと私」
デビット・スーシェ自伝「ポワロと私」を読みました。
とても面白かったです!
私はクリスティの大ファンで、原作は全て持っているし、映像化された作品もほぼ見ている。
その中でもジョーン・ヒクソンのマープルと、スーシェのポワロは最高の出来で、これ以上のものは絶対に世に出てこない!と思っているくらいの大ファンです。
だからこの本を読んで、1つ1つのエピソードの裏に隠されたものを知ることができて本当に良かった・・翻訳をしてくださった高尾さんも、ポワロの大ファンということで自ら動いて日本語版を出したいと動いてくれたようです。有難う!!としか言えません・・
この自伝を読んで思ったのが、デビット・スーシェがとにかく真面目な役者であるということ。
細部にまでこだわって、クリスティの意図をしっかり読み解いて作り上げたポワロ像だったんだなあと。
だからこんなに世界が魅了されるんだろうなと納得しました。

あとアンソニー・ホロヴィッツが長編の中でも出来が良かった作品や、黄色いアイリスなどの脚本を書いていたと知って、さすが・・すごい才能と思いました。
欧米ドラマや映画は正直ミステリーのジャンル以外興味がないので、役者さんはほとんど知りません。だから素晴らしい役者陣で揃えられていたんだと、この本を読んで初めて知ったくらい。
でも言及されていた役者さんは知らなくても、その方たちが演じていた役柄やセリフは1つの凝らず覚えているので、確かに印象に残った人が多かったです。それが演技が上手だということだったんだろう。ABC殺人のストッキング売りは印象強かったし、ヒッコリーロードの若手俳優陣もそうだった。
スーシェの演技との向き合い方、性格俳優であり、舞台中心の仕事を好むこととか、プライベートなことを知ることもできてうれしかったです。愛妻家で子煩悩で、何よりも家族を大事にする・・ますますファンになりました。
沢山のエピソードの中で、個人的には全て素晴らしいと思うのですが、それでもやはりその中でも優れた作品というものがあります。
短編よりも長編のほうが見ごたえがあるのは、仕方ない。
私も長編の方が好きで、「白昼の悪魔」「スタイルズ荘の怪事件」「ナイルに死す」「満潮に乗って」「オリエント急行殺人事件」「死者のあやまち」「葬儀を終えて」「五匹の子豚」などなど。。あげるとキリがない。そしてタイトルがまた素晴らしい・・
「ナイルに死す」や「満潮に乗って」はタイトルだけでも、倒れてしまいそうになるくらい素晴らしいなといつも思います。
イギリスの放送業界も不景気なのかよくわからないけれど、シーズンが終わって、次のシーズンの制作がどうなるかがはっきり知らされないというのは、おいおいと思いました。
どう考えても、スーシェ以外はポワロを演じることができないのに、よくブッキングしなかったな・・・と。中盤以降はイギリスでは少し盛り下がったとあったけれど、海外での売れ行きを考えたら、「カーテン」まで一気に撮影OKが出てもよさそうなのに。不思議だ・・・・
でもだからこそ、スーシェがポワロ以外の作品も沢山挑戦して認められたのは良かったのかもしれない。
日本にも2000年頃に夫婦で訪れて、常にリムジンで歓迎されたと書かれてたが。。知らなかった。そのころ、日本にいなかったからかも・・

途中で制作会社が変わったので、少し作風が変わったというか、それ以降は長編ばかりになったので映画っぽくなったのは感じていました。
「ナイルに死す」では最初ベッドシーンがあってギョっとしましたが、それ以上に「ホロー荘の殺人」でそういうシーンがあって、私はうわーってなった。従来のポワロではなかったから・・あんまりあの作品は好きじゃないと感じるのはそういう部分かもしれない。
最終シーズンでは「カーテン」を最初に撮影したと知って驚き。そうだったのか~
あのナスハウスは、クリスティのリアル別荘だというのも驚きました。
運転手さんとか、その他にもオリヴァー夫人とも現実で慣れ親しんでいる役者さんだったとか、このポワロの世界観が大好きだったので、こういう話を知ることが出来て本当に良かった。
ポワロ好きな人は必読本です!!
この本を読んで、またクリスティを1から読みたくなった・・・
