東野圭吾「架空犯」

ピーナッツ

東野圭吾「架空犯」を読みました。

架空犯
架空犯
幻冬舎

面白かったです!
さすが東野作品、スラスラ読めるし、登場人物の名前がすっと入ってきました。
「白鳥とコウモリ」のシリーズらしいんだけど・・そうだったっけ?
私結構読んだらすぐに忘れちゃうので、どこが共通しているのかわからなかった。
「白鳥とコウモリ」はもちろん既読ですが、読まなくても全然OKです。


捜査一課に所属する五代は、火災になった一軒家から2人の遺体が発見された事件を捜査することになる。
一軒家からは、都議会議員の夫と、その妻の遺体が発見された。
夫は丸焦げの状態、元女優だった妻は浴室で首をつっていたので無理心中かと思われたが、すぐに妻は殺されてから吊るされたとわかり殺人事件だと判断される。
五代は所轄の山尾警部補と行動を共にすることになるが、その山尾の言動に不可解さを感じ・・という話。


五代が山尾を怪しむようになる些細なことが、読者にも疑惑を抱かせるんだけど、そこがちょうどよい匙加減になっていて、さすが東野圭吾・・・!と思わされます。
怪しいけれど、結局は犯人ではないんでしょ?とも思わせつつも、いやでも怪しいし・・・他に犯人いないよね・・と色々考えながら読んでいると、そこからどんでん返しへ。
まあミステリを読み慣れた人なら、そこまでどんでん返しではないけれど、それぞれの心情を描き出すことで、ああ・・そういうことなのか・・と色々考えさせられる。


思いっきりネタバレになるので注意だけど・・
若気の至りで済ませられる些細なことが、結局はこういう結末になったっていうのが怖いし、切ない話しだなと思った。
最近の芸能界の話題でも色々あるけれど、誰かの犠牲や不幸の上に成り立っている幸せや富って、あっけなく崩れちゃうんだな・・虚しいな・・と思いました。


若気の至りで些細なことって書いたけど、高校生が先生と付き合うっていうのはまず倫理的に駄目ですね。
いくら当人が本気だと言っても、未成年というのは成人と比べて視野も狭いし世界も狭い。
だからこそ大人が守らなければならないので、いくら人格者だといっても、そういう行動をとっていて信頼される筈がない。
でもこれは建前でもあるんだよな・・だってこの夫婦の場合は、一度別れて、それで再会して結婚をした。年齢とか関係なく本気の愛っていうのもあるのかもしれない・・人によっては年齢関係なく、老成している人もいるから。難しい問題です・・
もう1つは、やっぱり江利子が、出産した子を手放した事。
周囲の説得で育てられないからと言っても、芸能界で成功していたし、もっと援助できる方法はあったはず。犯人の境遇を考えると、江利子の行動はやはり許されない。
そして山尾刑事も、友人に江利子と先生の関係をばらしたのって、自分の中に鬱屈もあったし吹っ切るきっかけにもしたかったという若さがあったんだろうね。
おそらく犯人は山尾刑事の血を引いているんだろうけれど、殺人犯になっちゃったし・・友人の死の代償としては重すぎる。


ほとんどの場合で、誰もが若い頃は他人を傷つけたり軽はずみな行動をとっても、何事もなく済ませられる。だけどこういう事になる可能性もあるっていうのが、怖かった・・
あーー私も過去に何かやらかしていないかと心配になりました。
面白かったです!