山口未桜「禁忌の子」

ピーナッツ

山口未桜「禁忌の子」を読みました。

禁忌の子
禁忌の子
東京創元社
Digital Ebook Purchas

面白かったです!第34回の鮎川哲也賞受賞作ですし、作家さんの経歴も相まって話題作になってますね。

初めての作品とは思えないほど、読みやすくて、最後までテンポ緩めることなく楽しく読み終えることができました。


救急医である武田の元に、溺死体となった男が送り込まれてきたが、その男が自分と瓜二つだった。

中学生の同級生で、同じ病院に勤める城崎に助けを求め、男の身元を探っていく。

手がかりになりそうな情報を得て、ある産婦人科病院に出向くが、そこで会合する予定だった院長が密室で死んでいて‥という話。


ミステリなんだけど、妊娠出産といった倫理観に抵触するテーマについても焦点を当てた作品。

ネタバレになるので注意ですが・・

身元不明の男は、武田の一卵性双生児の兄弟でした。

一卵性双生児だけれど、受精卵が分離して、それを別々の女性の子宮に着床させる。その技術が30年以上前に成立していたということに驚きました(現実ではどうなのか・・)

さらに武田たちを生み出した人工受精卵が、実はそれだけでなく他にも存在していて、それが結果的に・・この「禁忌の子」という衝撃を感じさせるタイトルに繋がるんですが、何ともね・・・

不妊治療を受ける人は増えていますし、自分の血のつながった子供を欲しいと思うのは当然かもしれない。でもその裏で、犠牲になる子がいるっていうのがな・・

個人的な意見としては、不妊治療に力を入れるのもいい。でもそれ以上に、今すでに生まれて存在している子供を何とかすべきだといつも思っています。

とにかく児童養護施設にいる子を、最低でも大学まで出せるような経済的援助、サポートができれば。。夢のまた夢ですね・・・


作品としては満足なんですが、私の中の地雷がいくつかありました。

私の地雷の1つは、小児性愛者。2つ目は、知的障がいを持つ子に対する性的暴行。3つ目は近親相関。

性的暴行は殺人と同じだと考えているので、極刑であるべきだと思っていますが、その中でも子供に対するもの、知的障がいを持つ人に対する性的暴行を行うのは、人間の皮をかぶった悪魔ですよ。

でも3つ目の近親相姦っていうのは、他の2つと違って、この作品のように知らずにひかれあったということがあるから、一概には否定できない。たぶん、自分の中で地雷に感じるのは、人間が本能的に備わっている、種の起源を維持することを目的としているからじゃないかな・・と。BL小説とか、結構近親相姦多いんですよ~これめっちゃ嫌いなんですが、結構あるので、需要はあるんだろうな。

本能的に無理だと思うんですが、それ以上に、近親相姦で生まれてくる子供の健康が心配。よく血が濃いという表現をしますが、近親相姦により遺伝子の組み合わせに何かがおきて、子供に影響があるんじゃないかということが心配です・・

近親相姦により生まれた子供って、病気や障害があるって聞くけれど、実際はどうなんだろう・・噂レベル?医学会では検証されているのかなあ。

いとこ同士で結構して生まれた子どもがいる家庭を2組知っていますが、1組は子どもの学歴レベルがすさまじく高かった。もう1組は、少し発達障害がある感じだった。この2組しか知らないので、わかりませんが・・遺伝子とは恐ろしいものだ。何にせよ健康が一番。

密室の謎を解くといった本格ミステリも組み込まれているし、終始飽きさせない展開、城崎のような特徴的な性格を持つキャラなど、面白い作品でした。

ただ1つ気になったのが、武田も、妻も結局ハーフなんだよね。

遺伝子上の父は、日系アメリカ人だったのかな?それでもハーフなら肌の色だけじゃなく、顔にもっと外国っぽさが出るような・・・いや、そうでもないのか。

あと、武田夫妻が、好奇の目にさらされるかもしれない要素を秘めた子どもを大事に育てていくほどの度量の深さ、人間としての信頼は感じられたんだけど、夫婦関係はどうなるのか、少し気になった。でもやっぱり子どもは大事に育ててほしいね・・武田の兄のような境遇は辛くて見ていられない。同じような過ちを生み出さないようにするために、子どもはしっかり見守って愛して育ててほしいものです。


城崎を探偵役にして、まだまだ新しいストーリーが楽しめそうと期待大です。

シリーズ化されたら、武田夫妻&子供の元気な様子を匂わせでもいいので、知りたいなあ^^