マーク・T・サリヴァン「リトル・クロウは舞いおりた」

ピーナッツ

マーク・T・サリヴァン「リトル・クロウは舞いおりた」を読みました。

リトル・クロウは舞いおりた (文春文庫 サ 6-1)
リトル・クロウは舞いおりた (文春文庫 サ 6-1)
文藝春秋

面白かったー!


ダイアナは、閉ざされた雪山で行われるハンティングツアーに参加する。

腕の立つハンターばかりが参加したが、次々と参加者が殺される。

狩られる前に狩るべきか、極限状態に追い込まれるダイアナ達だが、ダイアナにもある過去があるようで・・という話。


ダイアナの回顧録から始まるので、主人公であるダイアナが何かトラブルを抱えているんだろうなというのはぼんやりわかります。

それが少しずつ明かされていくのですが、その匙加減が上手い。


そして最初は閉ざされた雪山で、ハンターが結構残酷な感じで次々と殺されていくし、外部からは人が入れないような状況なので、クローズドサークルのミステリかなと思っていました。

怪我をしたのに死ななかった人物もいて、ミステリ好きだと、こいつは怪しいって思うよね。

でもそうではなく、中盤で、メンバーとは別に犯人が出てきます。


そこからどうやら、この本はミステリではなく、人間ドラマを描いたものなんだなとわかってきます。

「犯人」と呼ぶべきなのか、それともただの殺人者というべきのか・・そこが読まないとわからないと思うのですが、表現が難しい。動機はまあ復讐なんだけど・・。

次々と人が殺されてパニックになる中で、ただ単純なものではなく、その裏にあるものとか、ダイアナがインディアンの血を引いていて、自然主義者だということも関わってくる。

シャーマンとか、スピリチュアルなことになると、私は一切そういうのは信じていないので理解はできない。でもそういう系統に心酔している人がいるのも理解しているし、もしかしたらないこともないかもとは思っている(絶対というもののはこの世にはないので)


今までハンターたちが動物を狩る側だったのに、今度は狩られる側になったという、世界がひっくり返ったようなところがこの本の怖いところだなと思った。

そしてハンティングの描写は緻密で繊細で、おそらく原作もそうなんだろうけれど、翻訳が上手いんだろうなと思いました。

翻訳家さんがあとがきで、実際に山で生活されている方に助言をいただいたそうなので、それも良かったのかも。臨場感たっぷりで、読んでいてドキドキします。


今回、大昔から山で暮らしていた人たちの習慣の1つとして、色んなものが挙げられていましたが、気になったのがダチュラ。

いわゆる、チョウセンアサガオです。

このダチュラ、種に毒があって、飲むと幻覚作用を引き起こすなど命に係わるので取り扱いが注意ですが、私は一度だけ育てたことがあります、

種はまるでアサガオのようなもので、植えると結構繁殖力が強くて初心者でも育てやすい。

花は大きくて白い、だけど可憐な感じでおすすめです。

花も綺麗だけど、実がトゲトゲして可愛い。

ダチュラ朝鮮朝顔 種三十粒
ダチュラ朝鮮朝顔 種三十粒
ノーブランド品
家庭用品

また植えてみたくなったな~ホームセンターに苗があるかな。



話は戻って、ダイアナが抱えていた過去は、先祖が大事にしてきた考え方を踏襲した父親に対する反発でした。

反発という言葉は違うか・・相容れないものというか・・・

お母さんが若くてアルツハイマーになって、どんどん人間らしさを失っていき、完全にそうなる前に動物ように自然に還りたいっていう考え方。

うーん、これは正解が見つからない問題だよね・・

治らない病気に対して、安楽死を認めるか認めないかということにもつながってくると思う。


結局は人生って、辛いことを乗り越えて、淡々と生きていかなくちゃいけないことなのかな・・

ミステリだと思って読み始めたのに、生きるとは何かを考えさせられるような人間ドラマで、読み応えがありました。

しかし・・グローヴァーは何か・・可哀想だった気がするが・・