高野和明「13階段」

ピーナッツ

高野和明「13階段」を読みました。

13階段 (講談社文庫 た 94-1)
13階段 (講談社文庫 た 94-1)
講談社

面白かったー!


高野さんの作品は、「踏切の幽霊」に続いて読むのは2作目。

人気作である「ジェノサイド」もいつか読みたいなとは思っているけど、タイトルからして尻込みしてしまうよね・・


「13階段」は江戸川乱歩賞受賞作だし、いろんな方の感想を読んでも面白さに対してお墨付きだったので、期待しながら読みました。

期待以上の面白さでした。


とにかく物語が最後まで二転三転して飽きさせることがないし、最初から何となく伏線張っているのかな?っていう描写もところどころにあるので、読みながら色々想像しながら楽しめます。


そして死刑について、向き合うことを余儀なくされます。

ほとんどの人は、刑が執行されたという報道を知って、やっとかって思うよね。

判決が出てから執行までの遅さに、法務大臣の職務怠慢だとか、考える人も多い筈。

でもこの作品では、死刑執行までの流れとか、立ち会う人たちの葛藤とかも描かれていたのは興味深い。

まあ、それを読んでも、やっぱり死刑囚に人権はないと思うけどな・・

被害者は、死と向き合うための覚悟する時間すらなかったんだから、いくら生い立ちが不幸だったとか言われてもね。おそらく自分が犯罪被害にあったことがある人は、加害者側の事情なんか知らんがなだと思います。私もそうだもん・・人間だれでもしんどいんだよ!!


この作品は、そういう面での葛藤も定義しつつ、ちゃんとミステリ仕立てになっているから面白い。

本当に死刑執行が近い男は冤罪なのか?それなら犯人は誰なのか?

冤罪を晴らす2人の男が抱えている事情とは?っていうのを読者側に少しずつ明かしていく手法が面白かったです。


気になったのは、なぜ真犯人は通帳や犯行に使った凶器を処分しなかったのか。あの犯人の最後のあがきを見ると、一人で穴を掘っても取り出した筈。

そして純一に罪をなすりつけようとした、あの父親の行動がうまくいきすぎていたような・・報道内容だけでは、なかなか計画を組み立てるのは難しいよね。

あと純一が、もし冤罪を晴らすことができたら別の男を死刑に追いやってしまうと考える部分。

そりゃーそうだろ、罪を犯したんだから・・と思っちゃた。


だけど保護司の中にも悪い奴がいるっていうのは、当然ながらありうるんだけど、あまり思いつかないことだからハッとさせられたね。

息子夫婦が豪邸をたてたというのは少し違和感があるが・・普通ならひっそり生活しそうだけど。

最後に、純一が殺した男の父親、まあ逆恨みでもないし、大事な息子を殺されたっていう理由があるから行動を理解できなくもないけど、その息子が犯した悪行だけははっきり伝えてほしいもんです。

性犯罪の罰則の緩さだけは、本当に嫌になる。