チェ・ウニョン「無理して頑張らなくても」

ピーナッツ

チェ・ウニョン「無理して頑張らなくても」を読みました。

無理して頑張らなくても
無理して頑張らなくても
早川書房
Digital Ebook Purchas

とても面白かったです。


チェ・ウニョンさんの作品をほぼ全部読んでいるけれど、これまで読んだ作品の感想を確認したら、どれもとても面白かったと書いてました(読書メーターを利用しているので)。

驚くほどこの作家さんの感性と合うんだよね・・なぜだろう。


今回は短編集ですが、どれも面白かったです。

表題作の「無理して頑張らなくても」に、ファッション雑誌の「Ceci」が登場して思わず懐かしい!って思いました。

韓国に行く時は必ず購入してたし、あれ雑誌が驚くほど分厚くて、付録がすごく豪華だったの。今では日本でも付録のほうがメインの雑誌が多いけれど、あの時は付録がこんなに豪華で大丈夫なの?って驚きました。

書店だけじゃなく、道端でおばさんが小売りで売ってたりもして。あとアイドル雑誌にポスターとか大きすぎる付録でびっくりした記憶もある。ポスター持ち帰るの大変だったわ。


「デビー・チェン」は何となくロマンチックだけど物悲しい雰囲気。

旅先とか異国で出会った人との思い出って、ノスタルジーを感じてしまいます。


あと猫など動物に関するものも多かったけれど、そこも共感するところが多かったです。

大事な人なのに、自分になぜか引け目を感じたり、相手に理解してもらなくて悩んだり。

思春期の悩みというだけでなく、人間付き合いをする上で、これは永遠に解決できない問題だなと思います。

韓国の名前って、一見すると男性なのか女性なのかわからないものも多いので、読んでいてこれはほんのり百合なのかと思うことがありました(作者はそういう意図は全くなく、勝手に私が考えただけですが)

韓国の女友達同士って、手をつないで歩いたりするし、距離が日本より近いんだよね。

だからそう思うのかもしれないけれど、そこがちょっと違いがあるなあと思いました。


チェ・ウニョンさんの作品を読んでいると、なぜか、自分はこういう時こうだったなと思い出すことがとても多いです。それだけ共感する部分が多いのかもしれない。他の作品ではあまりこういうことがないので。

女友達同士で少し仲たがいして再び交流を始めたというパターンがこの作品でいくつかあったけど、私も高校生の時のことを思い出しました。

大学受験の時だったんだけど、私が通っていた高校では在校生がはほぼ100%大学進学するんだけど、その時に一番仲良かった子が、その時学年で唯一、一人だけ短大に進学したんです。

その時、彼女は家から通えるからって私には行ってたけど、地方の国立くらいなら余裕で入れる学力くらいはあった。だけどその時は私は、そんなもんかとしか思わなくて。

でもその後数年たって、そういえばあの時、彼女は引越しもしていたしお母さんが病気だと言ってたことを思い出したんです。それで私ってすごく冷たい人間だったんだな・・もっと踏み込んだことを言えば良かったのかなって後悔しました。冷静に考えると、まだ子供だったし何もできなかったんだろうし、できるはずもないんだけど。

こうやって色んなことを見落としてきてるんだろうなと考えるきっかけにはなりました。


チェ・ウニョンさんからの言葉っていうのがいつも温かみがあって好きです。

作中にも、人間同士の関係を築くのであれば、お互い努力をしなければならないということが描かれているのですが、単純なことだけどそうだよなあと考えさせられました。