恒川光太郎「金色機械」
恒川光太郎「金色機械」を読みました。

- 金色機械 (文春文庫)
文藝春秋
Digital Ebook Purchas
面白かったー!
時代設定が江戸なので、最初は時代小説なのかなと思っていました。
しかしスターウォーズに登場するような(と言いながら、スターウォーズを見たことないし内容も全然知らないのですが)、アンドロイドのようなロボットが登場。
それが妙にマッチしていて、さすが恒川ワールドだ!と思いました。
順番で読むと年代がバラバラになっているんだけど、少しずつリンクして、最後には大きな絵図が描かれたように感じられるので爽快感や達成感があります。
そして登場人物全てが、完全な悪人でもないし善人でもない、市井にいる人たちなんだなと感じられます。
私が特に印象に残ったのは、金色様がお仕えしていた一族の最後になった政嗣さま。
政嗣さまは結局、親の仇も取れなかったんだけど、金色様を解放して好きに生きてほしいと告げます。
金色様が、代々守り続けてきた一族の最後がこんなに華のない人でごめんねと言うような謝罪をする政嗣さま・・でもこれこそが人生じゃないかと思いました。
熊悟朗にしても、豪快磊落な人柄なのかと思ってたけれど、長いものに巻かれろというただの人間だったしね・・・がっかりなような、人間らしいとも言えるような複雑な感情。
そして恒川作品の怖いところ(ホラーを感じさせるところ)は、人の見た目や評判と、実情は違うってことを急に突き付けてくるところ。
柴本同心が実は後ろ暗い過去があって、素知らぬふりをして自分の素性を知っている人を探していたこと。さらに怖いのが、柴本同心の妻が、最初から真相を知っていたこと。
夜隼が裏で工作していたことなど、ちょいちょい心理的な怖さを入れてくるところがたまりません。
一方で、金色様がコメディなのかと思うような発言や行動を取るなど、そのバランスの絶妙さがこの作品の質を高めていました。
私は子供の時に、深夜に放送していた吉原(遊廓)がテーマの映画を見てから、このジャンルがかなり苦手なんです。花魁が綺麗?どこがよ・・
BL設定でも遊廓ものは多いですが、何冊か読んだものの、やっぱり好きになれない。
売春をシステム化すること自体に拒否反応あるんですよね・・だからこの作品で、最後に鬼御殿がぶっつぶされたことに満足しました。
金色様が未来から来たロボットなのか、本当に月から来た民族なのかはわからないけれど、その特殊な設定以外にも、手に触れるだけであの世に送ることができる能力とか、人の感情を火花は黒い霧で見極められる設定など、江戸時代を舞台にしたところでは一見すると合わないよう感じられるのに、全然違和感なく仕上げてきたところが作者の力量だなと思いました。