恒川光太郎「草祭」

ピーナッツ

恒川光太郎「草祭」を読みました。

草祭 (新潮文庫)
草祭 (新潮文庫)
新潮社

面白かったー!


この前読んだ恒川作品がとても素晴らしかったので、まだこの世界観に留まっていたくなり、他の作品を引っ張り出してきました。

文庫版は明るい装丁だけど、私が持っているのはハードカバーのもので、そちらはダークな感じでそっちのほうも好み。


5編収録されていますが、共通した世界観(不思議な街の設定)になっていて、どれも面白いです。

特に私が好きなのは、2作目の「屋根猩猩」と3作目の「くさのゆめがたり」


2作目の主人公、藤岡美和は、ふとしたことで不思議な少年と出会う。彼女は学校でイジメにあっているんだけど、ある時、その少年が突飛な行動をとって・・という話。

美和はイジメられていても、心は結構強くて、いじめっ子を猿と表現して、「猿のいる学校って大変!」とか、「いじめではなくて私の鞄をゴミ箱に放り込む人がいるだけですよ」って先生に言うとか皮肉が聞いていて、くすっとしちゃいました。

しかし先生って、どうしていじめられている子に直球でいじめられているのか?って聞くんだろうと思うわ。そんなの正直に言える子どもなんていないでしょ。

私も中学の時にいじめられてたけど、親にはそういうこと絶対言えなかったんだよね。親から愛情と信頼を得ているのがわかっていたから、いじめられていることを話したら、親がショックを受けると思ったから(たぶん、多くの人がそうだと思うんだけど)

あと私はすごい自己肯定感強いのもあって、なんで自分より全てにおいて劣ってる人からいじめられているのが理解できない、受け入れられなかったのもあった(気強いよね・笑)

だけど中2の時に個人懇談で、担任が親の前で言ったのよ。「さいきん友達と一緒にいないけれど何かあったのか?」って。私結構ポーカーフェイスなほうなんだけど、さすがに少しうろたえたのを今でも覚えてるんだよね。

そのことが大人になってからもふと思い出して傷つくことがあってさ。それで調べてみたら、教師の指導マニュアルで、そうすべきだっていうのがあるらしい。あの時、担任はマニュアルに沿って間違ったことはしなかったのかもしれないけれど、やっぱりそれは違うんじゃないかなと思う。

そしていじめの後日談だけど、私は中学の時は小太りだったのね。それをディスられてたんだけど、その数年後、そのいじめっ子と地元のスーパーで再会したのね(もちろんガン無視だよ)。そのいじめっ子が親と買い物に来てたんだけど、その母親が相撲取り級のおでぶさんだったの!!私それみて、めっちゃスカーっとしてね。お前、自分の家族を棚に上げて、私のことをディスってたのかって思うと笑えてきてね。ようやく心の傷が癒されました^^

自分でもいい性格してるなって思うわ^^v


そして3作目の「くさのゆめがたり」は最初から最後まで好きが詰め込まれていた。個人的にはこの作品は秀逸で、収録作品の中でもダントツでいいと思います。

少し残酷なところもあるんだけど、全ての展開に満足。

オロチバナを使って作る、クサナギという禁断の神薬。

この発想凄くない??こういうところが、恒川作品を愛してやまない部分だと思う。

もしクサナギを飲んだら、自分は何になるんだろう。。できれば鰐になりたい。


他の作品の中にも素晴らしい表現が沢山あって、それを集めるだけでも楽しい。

草を食べる草魚とか、のらぬらのおぞましさを表現するときに、大好きな恋人にもらったドールハウスの中をのぞくとゴキブリが入っている感じとか。

この独特な表現方法がたまりません。