矢樹純「妻は忘れない」

ピーナッツ

矢樹純「妻は忘れない」を読みました。

妻は忘れない(新潮文庫)
妻は忘れない(新潮文庫)
新潮社
Digital Ebook Purchas

面白かったです。
短編集5つを収録。


表題作よりも、「無垢なる手」が私は一番面白かった。
ママ友との付き合いのリアル感、そして天然なのか意地悪をしているのか微妙に判断が難しいボーダーラインなど、薄氷の上を歩いているような不安な感じが面白かったです。
こういう天然で計算高い人って、たまーにいるのよね。怖い怖い。


「裂けた繭」も面白かった。
二重人格かと思いきや、本当にみゆながいたという驚き。
でもこういう終わり方好きなんだよね。
閉じ込められて抑圧された後の開放感!嫌な奴を退治してやったという達成感よ!


「百舌鳥の家」もある意味怖い話。
このお姉さんって、天然ではなくて、ちょっと発達障害系なのかなとも思った。
今まで少し変わった人のことを天然とかで言葉濁してたけど、やっかいというか、身近にいたら困るよね・・
私も姉がいて、仲は良いけれど、正直考え方が偏っているな・・とか、モンペだな・・と思うことがあります。考え方がかなり右寄りだし、子供を全肯定するところとか。
でも異議を唱えると猛抗議されそうなので黙ってますが。


最後の「戻り梅雨」はいまいちだったな。
あれだけで弁護士が怪しいと気づくのは少し厳しいかも。
表題作の「妻は忘れない」はまあまあでした。


解説で、矢樹さんはなかなか文筆業がスムーズではなかったみたいなことを書かれていたけれど、こんなに読みやすい文章で、個性がある作品を作れるのに、厳しい世界なんだなあと思いました。でも短編集を出すこと自体が難しいということなので、これからさらなる期待をかけられている作家さんなのかな、とも。
確かに面白いので、読み続けていきたいと思います。