ヴァジニア・ハミルトン「わたしはアリラ」
ヴァジニア・ハミルトン「わたしはアリラ」を読みました。
面白かったです。(私が読んだのは、旧盤のあたらしい文学レーベル)
アリラという少女の視点で描かれる、少し周囲とは異なるところがある家族の話。
最初に読み始めたときは、とにかくつまらなくて・・でも面白くなるかもなあと思って頑張って読んだら、中盤くらいからようやく面白くなりました。
とにかく最初部分は、一体何を言ってるの?って言うところが多くて、最後まで読むとわかるんだけど、アリラが今よりもさらに幼いときの視点で描かれているからでした。
だから描写が子供ならではの抽象的な感じが多く、何が言いたいのかを掴むのが難しくて。
(そこがこの作家さんの凄いとこだと思います。子どもが書いているように表現すること)
あと登場人物の名前に、太陽やら月がつくので、そこがさらに困難。
これは翻訳家泣かせな小説だなと思いました。
しかし中盤以降、アリラが、兄と兄のガールフレンドと一緒にスケートに行くところくらいからだんだん面白くなってきました。
アリラが兄のことをどうして自分のことが好きじゃないと考えているのか、はっきりこうだからとは説明はできないけれど、何となくわかるような気がした。少女時期特有の思い込みですね。
姉妹や兄弟って、そんなに年齢が離れていないのに、やけに頼りになる存在であったり大きな存在に思えたりするものだから。
アリラの兄、太陽は格好良く描かれてました。女の子たちがキャーキャー言うのがわかるかも。あの年代なのに、すでに確固たる自分を持っているっていうのが魅力に映るんだよね。
あと家族が何となくまとまっているようで、たまにバラバラになることの不安を少女視点で描かれていたのは興味深かった。だけど最後は、アリラが父親を迎えに行ったし、何か少し成長したことで、またこの家族にも変化が訪れるんじゃないかという終わり方が好きでした。
ヴァジニア・ハミルトンさんは、自分のルーツを大事にしていて、それに絡めた小説を書く作家さんらしいです。
アメリカは黒人文化もあるし、先住民やインディアンなど歴史も色々あるから、それが文学に反映されていることが多いですね。
私は大学の時、一応文学部だったけれど言語学専攻だったので、それほど積極的に文学には取り組まなかったんです。だけど院に進んだ時に、日本から移民してから綿々と繋がっている日系人の文学を研究している結構権威のある教授がいたので、そこで専攻分野とは違ったものの学ぶ機会を得ることができました。
だから日系文学の本はかなり読んだのですが、とにかくルーツというものを大事にしつつも、周囲から虐げられることが多くて、何となく悲しさとか切なさが多いんですよ。
日系人の数は自分が思っていたよりかなり多くて、関連の文学も沢山あるのに、日本ではほとんどが翻訳されてないのが残念・・読みやすい英語で書かれているので、是非海外から取り寄せて読んで欲しいものも多いのですが。
